YahooとLineが経営統合の基本合意を公表し、対話アプリ、ゲーム、ネット通販、決済などをカバーする1億人規模のデジタルプラットフォームができる。グローバルプラットフォームであるAmazon、Facebook、Googleの利用者数は20億人規模なので、GAFAと比べると、小さなプレイヤーに過ぎないが、国内でみると大きなインパクトがあるのではないか?

基本合意といっても法的拘束力はなく、また独禁当局の審査もクリアしなければならないので、そう簡単に統合が完了するわけではないが、仮に統合が完了した場合、どのような統合効果があるのか。

両社ともにポータルサイトとスマホ決済(キャシュレス決済)をもっているので、これをどのように統合するのか、あるいは統合しないままで相乗効果をもたらすのかといったことがM&Aの統合プロセス(PMI、Post-Merger Integration)において最重要課題となる。

ソフトバンク傘下のPay PayとLine Payとは統合しない、という話のようであるが、全く独立のままでは、1+1が単に2になるだけで、M&Aの相乗効果(シナジー)は期待できない。Pay Payは、ここ1年の間に100億円のキャンペーンを3回実施し、キャッシュレス決済では競合他社を引き離している。一方で、Line Payは資金余力がなく、投資継続は難しい状況ともいわれている。今後も販促に資金投入が必要であれば、いずれは統合するというのが、合理的経営判断であると思う。経営統合後の対応が気になるところである。

一方、YahooとLine傘下のLivedoorという二つのポータルサイトはどうなるのであろうか。インターネットプロバイダとしての役割を終えたLivedoorは現在、Lineの傘下にある。このLivedoor blogも当然、統合会社の傘下にはいるので、その後どうなるのかは気になるところである。Yahooはブログからの撤退を決定しており、今年いっぱいでサービスを終了するからだ。ショッピングサイトなどの他のサービスとブログサイトとの相乗効果はなかったというなのかもしれない。もしそうであれば、Yahooとの統合会社がブログサイトについてどういう経営判断を下すのか、これも統合会社のPMIの検討課題にはなるであろう。Livedoorブログの一ユーザーとしては是非とも、ブログサイトと他のデジタルプラットフォームとのシナジーを目指して欲しいものである。